この記事の概要
不動産の売買では売るのも買うのもトラブルは避けたいものです。
売却ともなれば、「高く」「早く」に加えて「安全に」という事も欠かせないですね。
しかし、そう思う一方で不動産取引における紛争・トラブルは跡が絶ちません。
全国的にみると売買の紛争に関しては年間で約700件前後という数字になり、水面下の小さなトラブルを考えると想像を超える件数になってきます。
せっかく買い手が見つかり、ようやく落ち着けると思った矢先にトラブルでは心身ともに疲弊してしまいます。
不動産売却の場合、どんなトラブルが想定されるのかをご紹介させていただきます。
買主とのトラブル
契約不適合責任
契約不適合責任とは、2020年4月の民法改正により旧「瑕疵担保責任」から改定された欠陥・不具合について取り決められた法律です。引き渡された不動産が契約内容と⼀致しない場合には、買主が売主に対して債務不履行責任として担保責任の追完を請求することができる権利です。
引き渡し後に契約内容と違った箇所があれば、修復の請求が可能になり、場合によっては契約解除ができる内容になります。
売主様の立場として気をつけなければいけないポイントは、知っている不具合や補修履歴は全て告知しておく事です。
引き渡し後に買主様から「聞いていなかった」と言われないように、小さなことでも告知しておき、書面で残しておく事がトラブルを防ぐ方法につながります。
境界トラブル
中古戸建や土地の売買では、引き渡しまでに隣地との「境」を明確にする必要があり、境を明確にする為には測量士による隣地所有者との立会いのもと、目印となる「境界杭」の設置を行います。
この際に隣地所有者との不仲により立ち合いをしてくれない、または遠方に住んでいて連絡がつかないなどのトラブルもあります。
また、古くからある土地の場合では、昔の測量技術と現在の測量技術との違いにより境界ラインに差異(ズレ)が生じてしまう場合もあります。
その結果「面積が減る側が納得しない」というトラブルもあり、面積が減少するのが売買する当該地であれば「買主様が納得するかどうか」という事に発展していきます。
隣地との境界について不安要素がある場合は、売却を依頼している不動産会社に早めに伝えておき、売却期間中に測量を行う事が望ましいと言えます。
不動産会社とのトラブル
販売報告書の義務違反
「専属専任媒介契約」を締結した不動産会社は1週間に1回以上、「専任媒介契約」では2週間に1回以上、どのような販売活動をしたかを売主様に書面・または電⼦メールなどで報告する義務があります。
この報告義務の漏れが起こることで売主様と不動産会社との間にてトラブルへ発展する事があります。これは本来、不動産会社が行うべき義務の怠慢となりますが、依頼する業者によっては起こりえる事ですので注意が必要です。
情報の囲い込み
囲い込みとは、売却の媒介委任を受けた不動産を、他の不動産会社に情報提供しないことを言います。
本来、不動産売却の委任を依頼された不動産会社は、売主様の利益の確保のために、不動産業者同士が物件情報を共有しあえる「データベース(指定流通機構※レインズ)」に物件情報を指定期日以内に登録しなければいけません。
委任を受けた不動産業者の限られた顧客(買主様)だけでなく、他の不動産業者の顧客にも情報提供をして成約の可能性を高める義務があります。
しかし、この義務を意図的に行わずに自社の顧客だけに情報を留めてしまうという事が大手不動産会社でも問題になりました。
不動産業者側も行政からの取り締まり規制が厳しくなったので、囲い込みは少なくなりましたが、売主様としては気をつけたいところではあります。
まとめ
トラブルというのは後から考えてみると「防げるトラブル」の方が圧倒的に多いものです。未然に防げるトラブルを回避するためには「経験豊かな信頼のおける不動産会社」に売却委任する事はもちろんの事。
売主様自身でもある程度の知識を持っておく事も必要かもしれません。